本当はもっとボリビアをあちこち観光する予定だったが、予想外の入院で時間がなくなってしまった。
予定を詰めれば観光できないこともなかったが、なんだが疲れてしまったので、ウユニで二週間のんびりした後、さらに追加でラパスで一週間のんびりすることにした。
ラパスはウユニから少し標高が上がり3700m。
これ以上天に昇りたくはないが、3000m以上の街に滞在するのもこれが最後(のはず)。
うっかり天に昇らないよう気をつけよう。
憲法上の首都は「スクレ」という街だが、行政・立法・司法機関、国連の施設などは全てラパスにあるので、事実上の首都はラパスとなっている。
つまりボリビアの首都はどちらかと問われたら、よくわからない。
ラパスはたださえ標高が高いのに、その上坂道が多い。
スーツケース殺しの街だ。
宿に着いてすぐCが体調不良を訴えた。
「やばい、意識飛びそう」と言うのだ。
確かにそれはやばい。
すぐにタクシーを呼び病院に向かった。
ところが、病院はちょうどお昼休みであと一時間待たないと開かなかった。
「どうする?」とCに聞くと、「治った」と言うので、宿に帰った。
急速回復である。
ラパスは治安が悪い。
強盗や盗難が多発してるらしいが、中でも有名なのは首絞め強盗。
後ろから首を絞め気を失っている間に貴重品を盗むのだ。
たまに首を絞められた人が死ぬこともあるらしいので、その場合ただの殺人強盗である。
プエノスアイレスのケチャップ強盗が可愛く思えてしまう。
そんなわけで、ラパスではほとんど写真を撮っていない。
ラパスの街はすり鉢のような形をしている。
すり鉢が思い浮かばない方は、蟻地獄の巣を思い浮かべてほしい。
中心の標高の低い場所には裕福層が、端の標高の高いところには貧民層が住んでいる。
つまり端に行け行くほど治安が悪い。
上の写真でそれがなんとなくお分かりいただけるだろう。
中心部には高層ビルが建っているが、端の方には見当たらない。
中心部が集中的に発展している様がうかがえる。
街並みはこんなにお洒落なのに、足を踏み入れるとおそらく事件に巻き込まれる。
まるで、食虫植物である。
ちなみにラパスは夜景が綺麗なことでも有名だが、夜は一層治安が悪くなるので今回は見るのを諦めた。
ラパスは食の宝庫だ。
一般的にボリビアの飯はマズイと言われるが、ラパスではそのマズイボリビア飯を我慢して食べる必要はない。
日本食屋、中華料理屋、韓国料理屋があちこちにあるからだ。
ちなみに、自分はボリビアの飯はマズイとは思わない。
食中毒になるリスクを度外視すれば十二分に食べれる。
むしろ食べたい。
というか、やや過剰に塩味が付いていれば何でも美味しい。
ラパスに来たら、日本食屋でうどんを食べて、韓国料理屋で冷麺を食べて、ベトナム料理屋でフォーを食べて、中華料理屋で焼きそばを食べて、タイ料理屋でパッタイを食べると決めていた。
しかし、中華料理屋で食べた一皿160円で山のように出てくる焼きそばのコスパが最高すぎて、結局一週間焼きそばを食べ続けた。
ラパスからアリカまではバスで11時間。
おそらく10時間を超えるバス移動はこれが最後(のはず)。
出発して4時間。
国境に着いた。
この国境は標高4800m
息苦しいのでサクッと審査を終わらせてほしいのだが、なぜか自分とCだけボリビアの出国で引っかかった。
「スペイン語は話せるか?」と聞かれたので、「No hablo español.(スペイン語話せません)」と答えると、「いや、お前それ話せてるじゃん」みたいな雰囲気になり、それからまくし立てるようにスペイン語で何か言われたので、 「No entiendo.(ちょっと何言ってるかわかりません)」と言うと、一同爆笑して「この日本人絶対理解してるぞー」みたいな雰囲気になった。
おいおい、困りながら片言のスペイン語を2.3つ話しただけで 、こいつスペイン語話せる認定ってどんな思考回路だよ、と思ってしまったわけである。
幸い英語が話せる人がいたので通訳してもらったところ、どうやら自分たち二人はボリビアの入国スタンプがないらしいのだ。
つまり不法入国である。
おいおい、不法入国しといて何食わぬ顔で出国しようとするとかどんな思考回路だよ、自分たち。
ボリビアに入国した時のことをよーく思い出すと、確かにパスポートを渡してスタンプを押された覚えがある。
いや、正確には押される瞬間は見ていないが、押したと言われた。
うん、つまり、そういうことだ。
二人で罰金約6000円を払い、無事に出国。
6時間後アリカに到着。
アリカは海沿いの港町。
ようやく下界に降りてきた。
酸素が濃い。