プラハに着いた夜、しゅう君という日本人から明日一緒に観光しようと連絡が来た。
しゅう君は大学生。
夏休みを利用してヨーロッパを周っている。
ブダペストで同じ宿に泊まってからちょくちょく連絡を取っていて、偶然プラハに着いた日が同じだったのでこうして観光することになったわけだ。
しゅう君は少し適当なところがある。
自分も結構適当な性格だが、彼はその数段上をいっている気がした。
どちらも駅の近くのホステルに泊まっていたので、「じゃあ明日は11時にプラハ駅で!」ということになった。
翌日。
支度をして宿を出る。
10時50分。
待ち合わせのプラハ駅に着いた。
問題はここからだ。
いや。
昨夜「じゃあ11時にプラハ駅で!」というメッセージを送ったところからすでに問題だ。
つい地元の小さな駅で待ち合わせの感覚だったが、考えてみれば一国の中心駅。
「明日は夜7時に東京駅に集合で」となんら変りない。
なんてことないただの自殺行為。
頭を使わなくても到底出会えないことはすぐにわかる。
11時00分。
とりあえずプラハ駅の正面入り口に行った。
こういう時、どこに行くか統計を取ったら面白そうだ。
人によって、券売機だったりインフォメーションだったりするだろう。
だが、ここは人通りの多さで正面入り口をチョイス。
吉と出るか凶とで出るか。
いや、凶と出るか大凶と出るか、だな。
入り口付近を見回すが、しゅう君の姿は見えない。
こういう時は、どちらか片方は動かないのが定石。
しゅう君が動き回っていることにかけ、自分は入り口付近をにとどまった。
11時30分。
しゅう君、現れず。
しゅう君も同じことを考えていて、どこかでとどまっているかもしれない。
もしそうなら、お互いに来るはずのない待ち人を一日中待つことになってしまう。
12時00分。
疲れた。
帰宅を検討する。
帰宅を検討する。
が、その前に良い考えを思いついた。
駅のWi-Fiを使ってしゅう君に連絡を取るのだ。
むしろ駅のどこをチョイスするかよりも、まず先にこの手段を使うべきであった。
駅構内に入りネットに接続すると、しゅう君も同じことを考えていたらしくメッセージが来ていた。
「待ち合わせの場所ってここであってますか?」と。
いや。いやいや。
「ここであってますか?」の「ここ」ってどこ。
しゅう君。君は一体今どこにいるんだい。
久しぶりに一人で笑った。
それから「インフォメーションに来れる?」と送ろうとしたところで、後ろからしゅう君が現れた。
この広いプラハ駅で偶然出会えるなんて。
まさに奇跡的。
この広いプラハ駅で偶然出会えるなんて。
まさに奇跡的。
「いやー、ごめんごめん。場所指定しなかったのが悪かったね」と言うと、「いえ、それ以前にここがプラハ駅かどうかわからなかったですから」としゅう君は笑ってみせた。
すごいよ。しゅう君。
自分はプラハについて何も調べていなかった。
「とりあえずどこに行こうか?」
「見どころは固まってるみたいです。みんなあっちに歩いていってるのでついて行きましょう」
と、観光は始まった。
ただ、しゅう君もあまり調べていないらしく、大きな建造物を見つけると「ジュンさん、これ多分有名なやつですよ」と言って写真を撮っていた。
自分ももっと大きな建造物を見つけると「しゅう君、これすごいよ!世界遺産なんじゃない?」と言って写真を撮った。
世界遺産に怒られる。
世界遺産に怒られる。
こんな感じでゆるく観光していたが、プラハ観光のメインとも言えるプラハ城だけはしっかりと観光した。
城壁内には教会や王宮や宮殿がいくつかあり、チケットの種類によってどこに入場できるか変わる。
自分たちは有名な4つの建物に入れるチケットを買った。
ところがそのうちの2つを周ったところで、「しゅう君、この後はどうする?」と聞くと「俺、もうお腹いっぱいです」との答えが返ってきたので駅まで帰ることにした。
ここまで書くと、マッハで適当に観光しているように見えるかもしれないが(実際そう)、この時すでに17時。
5時間近く歩き続けていることになる。
さすがにお腹が空いた。
何か食べようと提案すると、旧市街の方に寿司屋が何件があると言うのでそこへ行くことに。
この旅で初の寿司。
少し元気が出た。
少し元気が出た。
しゅう君の勘だけを頼りに寿司屋を探す。
探しさまよい1時間。
もうお腹に入れば何でも良いやと思ったところで「SUSHI」の看板を発見。
ところがメニューの中に中華料理を見つけると、しゅう君は大盛りの焼きそば、自分は大盛りのチャーハンを注文していた。
もうお腹に入れば何でも良いやと思ったところで「SUSHI」の看板を発見。
ところがメニューの中に中華料理を見つけると、しゅう君は大盛りの焼きそば、自分は大盛りのチャーハンを注文していた。
さすがに何か寿司も頼もうと思い、
「2人で1皿頼もう。しゅう君何が良い?」
「カッパ巻が良いです!」
「カッパ巻?」
「はい!俺、カッパ巻にわさびを大量に付けて食べるのが大好きなんですよ!」
「そっか、じゃあ、カッパ巻にしようか。ね。」
食後、さらに2時間ほどフラフラしてこの日の観光は終わった。
疲れた。
以下写真。
疲れた。
以下写真。
内装1
内装2
内装3
内装4
街中。