地球上には「世界の果て」と呼べそなう場所がいつくかあるが、この場所もまた世界の果てと呼ぶに相応わしいと思う。
スヴァールバル諸島・ロングイェールビーン。
北海道ってかなり北の方にあると思っていた昨日までの自分に、さようなら。
北欧諸国よりアイスランドよりもさらに北。
グリーンランドと並ぶほどの高緯度。
北緯78度13分。北極。
世界最北端の町。
世界の果てというより世界の「端」。
当初、イギリスの次はスペインに飛ぶ予定だったが、行き先を変更してスヴァールバル諸島に飛ぶことにした。
漠然と北極という場所に興味があったのと、何より端っこ好きとしては最北端という響きに心惹かれずにはいられなかった。
そんなスヴァールバル諸島だが、自分が訪れる時期は最高気温-10度。
千葉県という日本の中ではとりわけ寒くも暑くもない土地で20年以上過ごした自分にとって、-10度はおそらく寒い。
記憶をたどってもマイナスの世界などほとんど体験したことがない。
唯一思い出せるのは、倉庫のバイトをしていた時に入った冷凍庫だろうか。
あれが何度だったのかわからないが、もし常時あの気温だったらもれなく氷漬けになってしまうだろう。
さらにスヴァールバル諸島は極夜の真っ只中。
1日の日照時間、0。
暗いと余計に寒く感じるし、寒いとなんとなく暗く感じるものだ。
寒さと暗さの相乗効果で、より一層寒くて暗いスヴァールバルが予想される。
そこへ夏服で飛び込むのは清々しいくらいの自殺行為なので、ロンドンにいる間に服を買い足して装備を整えることにした。
物価の高いロンドンだが、衣服に関しては「PRIMARK(プライマーク)」という激安なお店がある。
そこで、
ニット帽 3£(350円)
マフラー 5£(600円)
手袋 5£(600円)
の三点を購入。
合計金額2000円以内で対北極の装備を整えることができた。
ただ、靴は依然クロックス。
ズボンは7分のハーフパンツ。
膝から下の防御力に若干の不安は残るが、有事の際に機動力を発揮するにはこれくらいがちょうど良い。
では、いざ世界の果てへ。
ロンドンから直行便はないので、オスロを経由して行くことになる。
ロンドン・ガトウィック空港からオスロ空港へ。
ノルウェイジアンというLCC。
ここで乗り継ぎ時間19時間。
フリーwifeが90分しか使えないので、残りの17時間30分はウルトラライトダウンを枕にしてゴロゴロして過ごす。
19時間後。
身体中が痛い。
CAさんも仕事をほったらかして見入ってしまうほど。
せめて仕事はちゃんとしましょうよ。
そんな自分は今無職。
続く。