ソフィアから列車とバスを乗り継ぎ、カザンラクという街にやってきた。
この街に来た理由はただ一つ。
それは共産党ホールへ行くため。
共産党ホールとは、1991年まで共産党本部として使用されていた建物で、現在は廃墟となっている。
この建物の内部の写真をネットで見た時、あまりの美しさに心を鷲掴みにされた。
そんな訳で出発前から絶対に行きたい場所の一つだった。
カザンラクは共産党ホールの最寄りの街だが、それでも約20km離れている。
そのためタクシーを使って行くことにした。
前日のうちにホテルでタクシーを頼んだところ、共産党ホールまでの往復と向こうでの1時間滞在で約2000円。
高いのか安いのかわからないが、日本の感覚で考えるととても安い。
翌朝、部屋で準備をしながら何気なく窓の外を見たら、なんと遠くに共産党ホールが見えた。
円盤のような建物が共産党ホール。
高鳴る気持ちを抑え、タクシーに乗り出発。
徐々に近づいてくる。
共産党ホールは海抜1441mの位置にあるので、結構急な山道を登っていく。
初めは自転車を借りて行こうと考えていたが、タクシーにして正解。
おそらく足がただでは済まない。
と思ったが、入れなかった。
入り口は固く閉ざされ、このように馬が守っている。
もちろん、正面の入り口が封鎖されていることは知っていた。
ただ、少し裏に回り込んだところに人一人がやっと通れるほどの小さな穴があって、そこから内部に入れるはずだったのだ。
が、その穴がなんと塞がっていた。
建物の周りを何周もして、どこかに入れる場所がないか探したが見つからなかった。
この時のショックと言ったら、もう。
形容しがたいほど。
ただ、前述した通りこの場所は海抜1441mなので、周りの景色がなかなか綺麗。
自分の他に何組かグループがいたが、みんな周りの景色を楽しんでいるようだった。
かじりつくように建物を見ていたのは、おそらく自分だけ。