アウストラル街道をかけあがれ。ラフンタでプチ沈没。

チリ

今いるコジャイケから、チロエ島のケジョンという町に移動する。

チロエ島には世界遺産の教会があるが、長期旅行には教会よりも新鮮な海鮮が安く安全に食べられることで有名。
この「安く」「安全に」にというのが非常に難しい。
今まで周った国にももちろん海鮮を食べられる場所はあった。
しかし、けっこうな値段がしたり、仮に安くても自爆覚悟だったりでなかなか良い海鮮にありつけなかった。
 
チエロ島に行ったら気分が悪くなるほど海鮮を食べてやる。
そう意気込んでいた。
 
コジャイケからチロエ島の行き方は大きく3つ。
 
①コジャイケ → プエルト・チャカブコ → ケジョン
 
②コジャイケ → プエルト・シスネス → ケジョン
 
③コジャイケ → チャイテン → ケジョン
 
これだけ方法があれば、まずチロエ島に行けないことはないだろうと思っていた。
ところが、コジャイケのフェリー会社で運行状況を確認すると、①と②が10日先まで埋まっていた。
③のチャイテンからのフェリーは2日後にあったが、コジャイケからチャイテンのバスが一週間先まで埋まっていた。
 
事態は深刻だ。
チロエ島に行くどころか、コジャイケから出られなくなってしまった。
 
一週間のコジャイケ縛りを覚悟したが、チャイテンの手前にあるラフンタという小さな村までなら明日バスがあったので、もう何も考えずに行ってみることにした。
 
ラフンタに着いたのは夜10時。
いくら小さな村とは言え、知らない土地に暗くなってから着くのは少し怖い。
しかし、到着しバスを降りるとその不安は一瞬で消える。
 
辺りに人影はなく静寂に包まれていたが、なぜか最初に感じたのは緊張ではなく安堵だった。
こればっかりは第六感によるところなので理由はわからないが、とにかく村特有のゆったり流れる時間に、到着早々2人とも魅せられてしまったのだ。
 
「何もすることないよね」と言いながらも、結果的にこの小さな村に5日間滞在した。
今となっては1日1日何をしていたのか正確に思い出すことは難しいが、何もすることがない以上、していたことなど何もないのだ。
きっと、毎日毎日同じことを繰り返していたに違いないが、それは最高に贅沢で堕落しきった生活だったように思う。
 
村には小さな商店が2軒ほどあった。
毎日同じ時間に同じ店に行くので、店員とも顔なじみになった。
2日目辺りは「あら、あなた達また来たのね」という表情だったが、4日目辺りからその裏に「あなた達、ここで何してるの?」という思惑が見え隠れしているような気がしなくもなかったが、無論何もしていない。
 
「あっという間」というありきたりな言葉では表現できなくらいあっという間のラフンタでの生活が終わった。

チャイテンに移動。

 
ゆっくりしていた分(自覚はない)を取り返すため、ここからはテキパキ移動したい。
 
チロエ島をカットして、プエルトモントまでフェリーで移動する。
 
ところがだ。
フェリー会社に行くとなんとプエルトモント行きは一週間先まで埋まっていた。
 
つまり、こうなるわけだ。
 
ラフンタ・第2章 開幕。
 
 もう5日間、ラフンタで過ごした。
 
ただ、「コジャイケで待っていれば今頃チロエ島で海鮮三昧だったのに」という気持ちは2人には微塵もなかった。
 
いや、嘘だ。
あった。
 
少なくとも自分には。
 
後半の5日間は、前半とは少し違った。
 
実はラフンタに日本人の女性が住んでいる。
村から少し離れたところで自給自足の生活を送っているのだ。
 
ラフンタに着く少し前にこのことを知り、できれば会って話を聞きたいと思っていた。
しかし、家の場所がわからず前半は会うことが出来なかった。
 
ところが、チャイテンからラフンタに戻るバスに日本人の夫婦が乗っていて、なんでもラフンタでその日本人女性と会う約束をしているというではないか。
便乗させてもらうことにした。
 
翌日、4人でその方の家に向かう。

庭で作っている野菜や果物、寒さをしのぐための家造りの工夫など色々話を聞いた後、薪割りのお手伝いをすることなった。
人生で初めての薪割り。
 
「それじゃ、薪を割る人」と言われ、すかさず「はいはい!自分が割ります」と率先して引き受けるが、何度か斧を振り下ろしているうちに手に豆ができ、そのうち豆が潰れて右手が使い物にならなくなってしまった。
同時に自分自身も、その場では全く使い物にならなくなってしまった。
 
Cに交代する。
 
するとここでCの驚くべき才能が開花した。
自分は一つの薪を割るのに最低3回は斧を振り下ろしていたのに、Cはたった一回で割っていく。
小気味好く会心の一撃を連発するCの姿は見ていてとても気持ちが良かった。
 
薪割りは力じゃない。
大事なのは重心の安定と体重移動。
そして、斧が薪に当たる瞬間の最高速度。
 
そう言われてもよくわからないが「ふむふむ、なるほど」と首を傾げつつ、その日もう一度斧を握ることはなかった。
 
翌日は全身筋肉痛に襲われた。
 
ラフンタ・第2章 閉幕。
 
チャイテンに戻り、プエルトモントへ。

フェリーからのサンセット。
 
プエルトモントに一泊だけし、夜行でサンティアゴへ。
 
いやー、エルチャルテンからここまで本当に長かった。
 
これにてパタゴニア、終了。

コメント

タイトルとURLをコピーしました