危うく帰国するところだった。

前回の記事で突然イースター島の紹介を始めてしまったので、話の続きがわからない方が多いと思う。
それどころか、一ヶ月も更新していなかったので、これまでの話の記憶がない方もいると思う。
自分もない。

ブログを読み返しつつ前々回からの流れを書くと、ボリビアを抜けてチリ北部の町「アリカ」に到着した後、飛行機で首都「サンティアゴ」に飛び4日間ゆっくりし、イースター島に飛びさらに2週間ゆっくりし、サンティアゴに戻りさらにさらに3日間ゆっくりした。
という感じだ。

決して面倒さくなったわけではないが、イースター島の2週間を一記事にまとめるという半ば暴挙とも言える行動を取ってしまった。
このペースで書いていけば、あっという間にリアルタイムを追い越して、そのうち未来のことも書けるかもしれない。

まあ、それは良いとして。

当初、サンティアゴの後はペルーに飛ぶ予定だったのだが、今回はペルーはやめてメキシコのカンクンに飛ぶことにした。

ペルーもボリビアと同じく標高が高い。
お腹は壊すし、息は切れるし、袋麺は美味しく作れないしで散々ボリビアで苦しんだので、しばらく標高の高いところは勘弁と思ってしまったのだ。

さて、国際線に乗るということで、久しぶりに出国チケット問題に直面することになる。

飛行機で入国する際には、どこか別の国に飛ぶチケットの提示が必要なのだ。

予定が決まっている人は、普通に出国チケットを取ってしまえば良いので何も問題はないが、長期旅行者だとなかなかそれは難しい。

これまでは何とか予定を立ててチケットを取ったり、チケットを取っていなかったが運良くチェックされなかったりで上手く切り抜けてきた。

国によってはチェックが緩かったりするので、そういう国であれば、まあ何とかなるかとチケットを取らずに突撃するのだが、事前の調べによるとどうもメキシコはそういう国ではないらしい。

なのでチケットを取らない訳にはいかないのだが、かと言ってメキシコに何日間いるか全く見当がつかないので、前もってチケットを取る訳にもいかない。
しかし、チケットを持っていないとその場で高いチケットを買うことになったり、最悪入国拒否になったりもするので、やはりチケットを取らない訳にはいかないのだ。

イースター島に出発する前からどうしようかと少しは考えていたが、イースター島滞在中はあまりにゆっくりしすぎてチケットの事は頭の片隅にもなく、イースター島から帰ってきてようやく考えだしたのは、カンクンに飛ぶために空港へ向かう4時間前のこと。

4時間前にもなると一応真剣に考えてはみるものの、「まあ、どうにかなる」と言ったある種自身のようで、また諦めのようなものが心の奥底からふつふつと湧いてきて、結局入国審査官が怠け者であることに賭けている自分がいた。

前々から、締め切りが近づいたり事態が切迫した状況にならないと行動しない悪い癖があったが、今ではそういう状況になると逆に吹っ切れて結局行動しない。
より一層悪い癖がついてしまった。

夏休みの宿題で言うなら、8月28日にあたりから全く手をつけていない宿題の山を見て少し焦り、8月30日になり本格的に焦りだすが、8月31日にはなぜか焦りは消えている。
こんな感じだ。

出発4時間前の今、焦りは完全になかった。
しかし、まあ何か良い方が見つかるかもしれないしと、時間つぶしの如くパソコンを開き調べ始める。

すると、面白い方法を見つけてしまった。
アメリカン航空の仮チケットを使うという方法だ。

旅人の中では結構有名は方法のようだが、自分は初耳だった。

どんな方法か説明すると、
アメリカン航空は、オンラインでチケットを購入する際に、最後の決済の画面で「保留」というボタンが出来て、それを押すと仮予約となりチケットが発行される。

ただし、まだその時点では支払いは行われていない。
仮チケットの有効期間は24時間で、それまでに支払いがされないと自動でキャンセルとなる。

その仮チケットをあたかもちゃんとチケットを取ったかのように、何食わぬ顔で提示するというものだ。
相手は漢字が読めないので、仮チケットであることを突っ込まれることはまずない。

確実にノーダメージで切り抜けられる素晴らしい方法だ。

稀に仮チケットを発行するはずが、本当にチケットを買ってしまったという凡ミスを犯した人もいるようだが、今の焦りゼロの状況ではまずそれはありえない。

これしかないと思い、すぐにアメリカン航空のホームページを開いた。

日にちはカンクンについてから1週間後。
行き先はどこの国でも良かったが、場合によっては日本に帰るチケットの提示を求められることもあるので、一応日本にしておいた。
帰国チケットであれば、審査官から執拗な質問攻めを受けることもないだろう。

検索をかけ適当な便を選択して、購入手続きを進めていく。

名前やパスポート番号を入力し、「保留」ボタンがないことを確認して「次へ」をクリック。

クレジットカード番号を入力し、「保留」ボタンがないことを確認して「次へ」をクリック。

すると、どういうわけか予約完了という画面に変わり、同時にアメリカン航空からEメールで旅程表が送られてきた。

「・・・・・・。」

「・・・。」

「ん?」

パソコンの画面を良く見る。

「・・・・・・。」

「・・・。」

「。」

これは凡ミスである。

メキシコシティ→日本 
148,000円にてお買い上げ。

ノーダメージで切り抜けられるはずが、特大級のダメージを受けてしまった。

今までにない最高の焦りを感じつつ、サポートセンターに問い合わせる。
しかし、回線が混み合っているようで、掛けても掛けても繋がらない。

空港に移動する時間も迫っているし、もし払い戻しとか出来なかったら大人しく1週間後に日本に帰ることを決めた。
さすがに148,000を捨てて、メキシコに長いするのもあれだし。

1時間後ようやく繋がった。

「あのー、ついさっき間違えてチケットを取ってしまって・・・。キャンセルしたいんですけど、払い戻し受けることって出来ますか?」

「予約番号はわりますか?」

「〇〇〇〇です」

「確認したいますので少々お待ち下さい」

「お願います。」

「♪♪♪」

「・・・。」

「♪♪♪」

「・・・。」

「お待たせいたしました。こちらのチケットでした全額払い戻しが可能でございます」

「本当ですか!?すぐにお願いします」

危うく帰国するところだった。

後で詳しく調べてみたら、アメリカン航空は24時間以内であれば全額払い戻しが可能らしい。
つまり仮チケットを発行せずとも、普通にチケットを買って即払い戻しを受ければ、本物のチケットだけが手元に残るというわけだ。
参考までに。

こうして、本物チケットを手に入れカンクンへと飛んだが、結局チケットを確認されることはなかった。

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