南京虫。その他。

チェラプンジで念願の橋を見て、再びコルカタに戻ってきた。

スクリーンショット 2016-07-12 14.59.14

次の朝、目を覚ますと右腕の肘辺りに痒みを感じた。
見ると蚊に刺されたように赤くぷくっと腫れている。

その時は特に気にせずキンカンを塗っておいたが、夕方になると腫れの数が4,5個に増えていた。
さらに最初の腫れも今朝より大きくなっていて、肘の辺りを撫でるとはっきりとでこぼこしているのがわかる。

翌朝、左腕にも痒みを感じたので見てみると、肩から肘にかけて右腕と同じような腫れが10個以上もできていた。
さらに夜になると太股やふくらはぎにも腫れが出始めた。

最初は蚊にだと思っていたが、さすがにこれはおかしいと思いネットで虫刺されとか湿疹のことを調べた。
そしたら同じ部屋に泊まっている日本人がちょうど良いタイミングで来て「じゅんさん、身体中にボツボツできてませんか?」と、かなりの慌てた様子で聞いてきた。

「できてるよ。大量に。」と、両腕を見せると「うわっ」と声を上げた。

そしてなぜかすまなそうに「それ、南京虫ですよ」と教えてくれた。

南京虫は日本ではあまり聞かないかもしれないが、世界一周者には割りと有名な虫で、安宿などの不衛生なベッドに潜んでると言われている。
噛まれるとしばらくの間は悲鳴をあげるほどの痒みに襲われるとか、跡がなかなか消えないらしい。

そしてさらに厄介なことにバッグに卵を生んで繁殖することがあるのだ。
そのためもし南京虫に噛まれたら、持ち物を全て熱湯消毒するか捨てろと言われている。

南京虫の存在はもちろん知っていたが、悲鳴をあげるほどの痒みではなかったことと、何より噛まれたときの特徴である2つの対になった噛み跡が見あたらなかったことで、まさか南京虫とはこれっぽっちも思っていなかった。

話を聞くと、どうやら二段ベッドで自分の上に寝てる人が数日前から謎の痒みに襲われて、ベッドを調べてみたら南京虫が見つかったらしいのだ。

噛まれた本人の両足は目を背けたくなる状態だった。
そして、まるでこの世の終わりのような顔をしていた。

それから日に日に増える腫れと、なんとなく増してるきてる痒みで完全に夜寝るのが怖くなってしまった。

南京虫に噛まれたときの腫れは、同じ日に噛まれたとしても時間差で現れることがある。
そのため最初の日だけ噛まれたのか、バッグにくっついていて何日も噛まれているのか
わからなくなってしまうのだ。

自分の場合、結果的にバッグは無事だったが、増え続ける腫れを見てバッグに棲み着いていると思ってしまった。
気付けば両手両足を100ヶ所くらい噛まれていて、「それ、どうしたんですか!?」と、初対面の人の目を引くくらいにはなった。

そのためしばらくは電気を付けたまま寝ることにした。

南京虫は夜になり暗くなってから人の血を吸うので、こうすることで噛まれるのを防ぐことができる、らしい。

しかし、毎夜30℃を超える中エアコンもなく、寝ているだけで汗をかき加えて電気に蛾とかよくわからない虫が集まってきてとても眠ることは出来なかった。

この時は冗談抜きで小さな虫が全て南京虫に見えた。

そしてちょうど南京虫に怯えていた頃、足の指先に小さな水疱ができはじめた。

これも初めは小さな水疱が2,3個だったのだが次第に増えていき、そのうち痒みと痛みを伴うようになった。

案の定その中の1つがたった数時間で小豆くらいの大きさなってしまい、今にも爆発しそうな状態になった。

さすがに怖くなり近くの病院へ行き、親指にできた一番大きな水疱を見せた。
すると、薄暗い部屋の隅にたった1つひっそりと置いてあるベッドに横になるように促された。

そして塗り薬でも使うとかと思いきや、まさかの点滴を打たれた。 
これで足の指先の水疱にどんな効果が及ぼせるのか、本当に謎。

意外と痛いんだなとか、だんだん腕が痺れてきたぞとか色々考えながら20分くらいポタポタと垂れる水滴を見たところで、チューブの中身がようやく空っぽになった。

そのあと医者が点滴セットを片して引き出しから新品の針を取り出したのを見て、あれ?水疱って潰していいんだっけ?確か跡が残るんじゃなかったけ?と色々考えたが、そうしてるうちにさっさと潰されてしまった。

しかもただ潰すだけにとどまらず、下の皮膚まで刺された。

割れた水疱から透明な汁がどんどん出てきて、そのあとに血も出てきた。
「あなたが皮膚まで刺したからですよ」という表情を浮かべたが、「ほら、上手くいったろ」と言わんばかりのドヤ顔をしていて少しカチンときた。

そして血の混ざった汁をガーゼで拭き取り、それからジュクジュクになった皮を全て剥がす。
皮膚のを全て剥がすと、その下に真っ赤な皮膚が見えた。
手のまめが剥がれた時に近いが、あれよりももっと赤くもっと黒い色をしていた。

そのあとは当然消毒をしたのだが、痛みが尋常じゃない。
全身を貫くような痛みに悶絶して、思わず太股を爪痕が残るほど力で思いっきり掴んだ。
そのあと医者が消毒液を滴ながらガーゼでトントンと叩くのを、歯をくいしばって堪えていたが、ついに我慢出来なくなり「あ、あの、物凄く痛いのでもう止めてもらえますか」と言った。

そう言うと医者は「なんだ、これからだったのに」みたいな不満そうな顔をしてガーゼを捨て、包帯で親指をぐるぐる巻きにした。
その後、痛みが治まるまでしばらくベッドで横になっていたが、やがて次の客が来たので足を引きずりながら宿へと戻った。

戻ったはいいが、南京虫と謎の水疱で心身ともにかなり疲れきっていた。
そしてここ4,5日ろくに寝てないことも重なり、免疫力が低下してしまったのかインフルエンザにかかってしまった。

生まれて初めての38℃以上の熱。
経験したことないような全身の怠さ。
身体は一人では起き上がれないほど重く、咳する度に激しく痛んだ。

加えて潰した水疱の痛みと、南京虫。

かなり大袈裟に言うと死ぬかと思った。

それからしばらくは療養生活を送り、熱は平熱まで下がり、親指の皮膚も徐々に再生してきてた。
人の治癒力に本気で感心した。

そして、また旅を再開するかというタイミングで左足を思いっきり捻挫してしまい、またその足をかばいながらバッグを持とうとしたら腰を痛めてしまった。

今は足と腰に痛みを抱えながら、空港でジョージア行きの飛行機を待っている。

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